世界遺産検定を勉強していると、遺産登録の概念の変化経緯も学ぶことができます。
文化的景観という考え方も検定で初めて知りました。
文化的景観とは
文化的景観とは、文化遺産と自然遺産の中間に位置する考え方で、人間が自然とともに作り上げた景観を指す概念です。
1990年代初頭までは、当時の状態が保存されていることが重要視されていたため、ヨーロッパの教会や城などの、風化しずらい石造りの遺産が多く登録されていました。
しかし、それでは、世界遺産リストに不均衡が生じ、リストの信頼性が損なわれることを懸念し、世界遺産登録の概念も少しづつ変わっていきました。
そこで、1992年に「文化的景観」が採択され、文化遺産の概念が柔軟になりました。
初めて文化的景観として登録された遺産は、トリガリロ国立公園です。
さて問題です。
日本の世界遺産には、文化的景観に認定されているものはない。 ○か×か?
答えは、記事の最後に。
文化的景観リスト
- 紅河ハニ族棚田郡の文化的景観(中国)
- リュウゼツランの景観とテキーラ村の古式産業施設郡(メキシコ)
- コロンビアのコーヒー農園の文化的景観(コロンビア)
- メイマンドの文化的景観(イラン)
- ラヴォー地域のブドウ畑(スイス)
- アルト・ドウロのワイン生産地域(ポルトガル)
- オリーブとワインの土地(パレスチナ)
- ビニャーレス渓谷(キューバ)
- 聖山スレイマン・トー(キルギス)
- リヒタースフェルドの文化的及び植物学的景観(南アフリカ)
- トンガリロ国立公園(ニュージーランド)
- 杭州にある西湖の文化的景観(中国)
- 英国の湖水地方(イギリス)
- 山と海に囲まれたカリオカの景観(ブラジル)
- ムスカウ公園(ドイツ)、ムジャクフ公園(ポーランド)
ハニ族は「森林」「水系」「棚田」「村」の四つの要素からなる、世界最大規模の棚田、循環型灌漑システムを作った。
テキーラ原料のアオノリュウゼツランの栽培地
100年を超えて受け継がれてきたコーヒー農園
人間が移動する独自の生活様式
カトリックのシトー会指導のもと、11世紀から続くブドウ畑
ドウロ川上流付近の2000年以上の歴史を持つワインの生産地
緊急的登録推薦で登録された、危機遺産。
葉タバコの産地で、先住民の暮らしも見られる。
民間信仰とイスラム教信仰が混在した聖山。
ナマ族に伝統的生活により残された文化的景観。
世界で初めて文化的景観が認められた火山帯。
日本や韓国にも影響を与えた庭園設計。
ピーターラビットの舞台となった景観。
キリスト像が立つ、コルコバードの丘。
第二次世界大戦に国境で分断された公園。
景観の分野なので、作物の生産地や畑が多いです。自然遺産の印象が強いですが、ほとんどが文化遺産にあたります。伝統的な集落や文化的証拠としての登録基準なので、文化遺産として登録されています。
なかなか、行ったことのある遺産が登場しなくて寂しいです。私の関心のあるジャンルの遺産ではないからですかね。
文化的景観の3つのカテゴリー
意匠された景観・・・庭園や宗教的空間など、人間によって意図的に作られた景観。
有機的に進化する景観・・・社会的要求によって生まれ、自然環境に対応して形成された景観。
関連する景観・・・自然要素が民族に影響を与え、宗教、芸術、文学と関連する景観。
問題の答えです。
「日本の世界遺産には、文化的景観に認定されているものはない。 ○か×か?」
答えは、×です。
日本の遺産では、「紀伊山地の霊場と参詣道」と「石見銀山遺跡とその文化的景観」が文化的景観カテゴリに含まれています。